前回に続き、野村総研が2015年11月に公表した「生活者1万人アンケート調査」による消費行動の変化についての調査レポートから、 ポイントと思われる事象に着目して、私見を交えた記事を以下に紹介します。

 独身女性の就業率は非常に高く、30代~40代の独身女性の8割以上が働いていて、そのうち半数以上が正社員という実態が分かっています。 一方で、独身男性は就業率や収入面で二極化しています。 独身男性は、結婚「できない」から一人でいるというケースが多いのです。 世帯形成するため所得が足りないから、独身でいるという傾向が強いのです。もちろん、独身貴族の人も存在しますが、大勢にはなりません。
逆に、独身女性は、就業及び経済状況的に、焦って結婚しなくても良かったという人が多いのが実態だったというところでしょう。 この独身男性と独身女性の経済状況の違いは、現代社会の持つ大きな課題だと思われます。

 インターネット、特にSNSの利用状況について見ると、30代の独身女性はSNSの利用率が非常に高く、ネットを通じて知り合った友人と週1回以上 連絡を取るという人が20%程度存在しています。アップしている内容が、どこに行って何を食べたとか、習い事の発表会とか、 海外で長期滞在型住居を借りたとか、情報発信に適した経験が豊富な印象を受けます。 30代の独身女性は、既婚女性に比べるとLINEの利用率では差がないのですが、フェイスブックやmixiの利用率が高いという特性があります。 写真をアップして自分の経験を語るという形態は、自己表現の要素が強いので、このようなSNSが好まれるのかも知れません。 一方で、独身男性は、特に年収500万円以上と、300万円未満のグループを見ると、前者はフェイスブックの利用率が飛びぬけて高く、 後者はツイッターの利用率が高いのが特徴的です。 これは、所得と就業形態からいって、後者だとどうしてもモバイルが中心になってくるので 140文字という短い情報のツイッターが利用されるのだと思われますし、前者は「周りから注目されたい」「役職や肩書きがほしい」というように 上昇志向が強いことから、自己顕示的な要素のあるフェイスブックとの相性が良いのかも知れません。

 ところで、子育て世帯については、妻が働いている共働き世帯では、妻の就業形態と親への依存度の関係が注目の対象です。 つまり、妻が働いていると親に子供を迎えに行ってもらったり、具合が悪い時に面倒を見てもらうなど、共働き夫婦が親に頼っているのではないかと 想像できます。 しかし、孫に関わってもらったり育児の相談をする等メンタルな面も含めたサポートは、実は妻の就業状況によってあまり差がなかったのが 印象的です。以前からシックスポケッツと言われていますが、親世代と渾然一体となって子育てをするというのが、 女性の就業状況に関わらず近年の大きなトレンドになっています。消費スタイルも、親が子世帯のために支出をする支援消費とか、 親子世帯で行動や経験を共有するための共有消費などの消費性向がみられます。

 また、子世帯の居住形態では、自分の親との同居、隣居(歩いていける範囲に住む)、近居(公共交通機関で1時間以内の範囲に住む)の割合が、 子供のいる20代~40代世帯では圧倒的に高い状況です。今回の調査では、近居及び隣居で60%、これに同居も合わせると80%以上になっています。 近くに住んで経済的若しくは精神的に支え合う家族の形は、この10数年間にわたり増え続けるトレンドになっており、 いわゆる「インビジブルファミリー(見えざる家族)」は増加する一方で今や大勢になっています。 一昔前のように、子供が熱を出すたびに親が新幹線で上京してくるという形の世帯は少数派になっている訳です。 特に、団塊ジュニア世代以降は、親が地方在住で子世帯が都市部在住という例は僅少になっています。 もう一つ、最近のトレンドですが、 地元志向で地方に帰って就職したり世帯形成するケースが増えており、これも「見えざる家族」の増加要因になっていると考えられています。